イシイチコログ

近況と雑記

孤独のススメ

田園地帯を走るバス。乗っているひとりの男。空に描かれる「MATTERHORN」の文字。予備知識ゼロで観に行ったので、はじめは北欧の映画かと思った。舞台はオランダ。

主人公のフレッドは、田舎町にひとりで暮らしている。リビングに飾られた妻と息子らしき人の写真を見つめながら、毎日きっちり同じ時間にお祈りをして、食事をとる。日曜日は必ず教会へ行く。判で押したような生活は、ふらっと現れた浮浪者のような男を拾ったことによって変わっていく。

ふたりの間にまともな会話はほとんどないのに、しぐさや表情でくすくす笑える。心臓をぎゅっとつかまれるような切ない場面もあって、最後にはなんともいえない幸福感に満たされた。当人も理由は説明できないけれど、一緒にいることを選んでしまう。置き去りにされた男と、留まれなかった男の物語。

好きなシーンはたくさんあるけれど、いちばん印象に残っているのは教会へ行く人々の流れに逆らって、フレッドが男とある場所へ向かうところ。フレッドはここで、自分を縛っていたものから解放されたんだと思う。

とてもとても好きな映画でした。


映画『孤独のススメ』予告編

 

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